近年、日本経済は大きく変化し建築業界においてもその様式を大きく変貌させました。住宅産業を経済活性の牽引役として捉え、まるで「住宅も使い捨て」というような風潮を生み出し、適切な改修をすれば長期間使用可能な建物にもかかわらず、解体して新築するということが当たり前だという考えを施工者・消費者ともに生み出してしまいました。
人口減少、経済低成長、高齢社会、地球環境保全等々の課題多き現代にあって、過去の反省を踏まえて原点に立ち返り、改めて今後の住宅づくりについて真摯に取り組んでいきたいと考えます。
日本の気候と共に生きてきた木造の住まい、古来より受け継がれてきた伝統構法は、世界に類を見ない誇るべき日本独自の建築工法です。
真壁構造により将来のメンテナンスを容易にし、地震に対しても建物全体を大きく揺らせてその力を逃がす免震性能を持たせた日本独自の構法なのです。
古民家を構成する資材の多くは,現在では得難いものが多く,伝統資財として有効活用すべきです。今後求められる長期耐用住宅の素材としても重宝されるものになるでしょう。
ご先祖より受け継がれた住宅や、すでに空き家となって放置されている住宅の中にも、そうした「宝(たから)」が気づかれずに捨てられてしまっているのではないでしょうか。それは大変悲しく、勿体無いことです。
私たちは、伝統を守ることの大切さを胸に、古民家再生、再築だけではなく、新たに新築をお考えのお施主様に対しても、古民家に生きている「住まいづくりの伝統的な精神と文化」を伝えていきたいと考えています。また、これらを新しい建物に活かす「新民家」の推進にも力を注いでまいります。
このたび「志」を同じくする皆さまと共にがっちりと手を携えて進んでまいりたいと思います。
よろしくお願いいたします。
一般社団法人古材リユース推進協会京都支部
支部長 畑 信太